> シンガポール風チキンライスを食いに行こうと思ったが場所も名前も忘れてしまった(;´Д`) > 御茶ノ水あたりだったと記憶しているが該当する店がない ある曇り空の午後、男はふと思い立つ。 「あのシンガポール風チキンライスが、また食べたい」 味は鮮明に覚えている。柔らかい蒸し鶏、香るジャスミンライス、ピリリと辛いチリソース。 しかし、肝心の店の名前も場所も、なぜか思い出せない。 手がかりは「御茶ノ水あたりだった気がする」というぼんやりとした記憶だけ。 男は記憶を頼りに御茶ノ水の街をさまよう。 坂道、雑居ビル、細い路地。 すべてが何かを知っているようで、何も語らない。 探しても、探しても、その店は存在しないかのように姿を見せない。 やがて、男は気づく。彼が探していたのは、店ではなかったのかもしれない。 過ぎ去ったある昼下がりの、たった一度の味。誰かと過ごした、かけがえのない時間。 そしてまた彼は歩き出す。次の“記憶”に出会うために。 参考:2025/06/14(土)19時13分24秒