2025/11/12 (水) 20:22:34        [misao]
練習艦の鹿島は、お昼になるとやってくる鹿島のことが大嫌いでした。

「今日こそぶっ殺してやるっ」そう言って二人は毎日喧嘩ばかりしていました。

鹿島はいつも鹿島に負けていましたが、それでも喧嘩をやめようとはしませんでした。

ある日、鹿島がポコポコと逃げる鹿島を追いかけて、提督の机の周りを走り始めました。

ぐるぐる回っているうちに二人の体はどんどん溶けて、銀色のバターになってしまいました。

提督はバターをドラム缶に集め、卵と砂糖と小麦粉と混ぜて、オーブンでこんがりと焼きました。

するとどうでしょう。オーブンから香取という可愛らしいお姉さんが出てきました。

そう、香取の髪が綺麗な灰褐色なのは、オーブンで焼いたからなのです。おしまい。

──俺の読み聞かせが終わり、駆逐艦が寝床へ帰っていった後に、香取が呆然と立ち尽くしていた

「え…嘘ですよね…」声を震わせる香取に、俺がアイオワと共に銀色のバターをかき混ぜている写真を見せた

「嫌ぁぁーー!嘘っ!うそよ!」

自身の髪を毟りながら絶叫し、夜の闇へと半狂乱の香取が飛び出していった

残酷な真実に啜り泣くかのように、水無月の夜風が兵舎のカーテンを静かに揺らしていた