2018/07/21 (土) 11:44:31 ◆ ▼ ◇ [misao]細田守の家族と自尊感情を巡る、暗黒の作家性が露になった一作
穏やかな家族関係のアニメのように思えるが、実際の印象はというと違う。くんちゃんが
周到に両親から自尊感情(自分には価値があると思える感情のこと)をすり減らされる
エピソードに満ちている。
ではどこでその自尊感情がフォローされるのかというと「家族」、「血縁」だ。長い血縁の中
に自分がいる。みんな同じような子供時代を生きた。きみもそうだ。だから少し自尊感情
がすり減ることがあっても納得するべきだ・・・だがそれは個人の感情とは関係のない、
社会的な立場でのみ存在を肯定されていることになる。
現実のすべての家族が自尊感情を育むわけではない。「家族は素晴らしい」、それは
あくまで国内の社会が提示している無難な価値観に過ぎない。家族というものを個人の
自尊感情をすり減らすクローズドな苦しいものとして捉え、成長していった人も多い。
細田作品の提示する家族観はそうしたタイプの観客の自尊感情に嫌な感じで触れてくる。
そのとき言葉にしにくい“否”の感情を抱く。周到に周囲から自尊感情をすり減らされ、
社会的な価値でだけ存在を肯定されている人間が描写されているからだ。