2017/03/05 (日) 03:09:03        [misao]
アメリカ外交は4つのパターンに分類される。ハミルトニアン、ジェファーソニアン、ウィルソニアン、そしてジャクソニアンである。
トランプ政権は、久々のジャクソニアン政権であると考えられる。

第7代合衆国大統領、アンドリュー・ジャクソンは究極のポピュリストであった。
19世紀前半の人物であるが、そのDNAが2世紀後の今日になって甦っている。そんな風に考えると、今のトランプ政権のことが理解しやすくなる。
それではジャクソニアンとはどういう人たちなのか。


●アメリカはある理念に沿って作られた国家ではない。アメリカは単にアメリカ人のための国家であって、政府は国内のことだけやってればよい。アメリカ例外主義なんてくそくらえ。

●ジャクソニアンは外交政策なんて気にしない。問題は国内政治だけだ。でも戦争になったら本気を出す。自由と民主主義の大義なんてどうでもいいが、この国を攻撃するもの(例:ISIS)は絶対に許さない。

●この国のエスタブリッシュメントは信用できない。あいつらは絶対に愛国者じゃない。だってコスモポリタンみたいなことを言うんだもん。そのくせ、俺たちのことを心の中で馬鹿にしている。

●最近はやりの「アイデンティティ政治」なるものが我慢できない。何がヒスパニックだ、LGBTだ。俺たちはたまたま欧州系白人に生まれてしまったために、同じような主張ができなくなっているじゃないか。

●そういうことをうるさく言う「ポリティカル・コレクトネス」なんてものも我慢がならん。何も俺たちは「格差」ごときに対して怒っているわけじゃないんだぞ。施しなんぞ要らねえや。

●われわれジャクソニアンは、軍や警察を無条件で支持する。大きな声では言えないが、Black Lives Matter運動なんかもムカついている。そりゃあ誰だって、ときに間違いはあるわさ。

●銃を持つ権利は神聖なるものだ。合衆国憲法修正第2条こそが最も重要な規定である。それを否定するエリートたちは自分たちの敵だ。

●移民が嫌いなわけじゃない。移民が増えることで、自分たちがこの国の主役でなくなっていくことが不安なだけだ。そしてそういう傾向を助長しようとするエリートは信用できない。

●難しいことは分からんが、そういう俺たちにとってドナルド・トランプはたぶん味方である。文句あっか。


そのジャクソン大統領は、白人男子を対象とする普通選挙法を実現し、第二合衆国銀行を廃止し、インディアンを強制的に居留地に追いやった。
こういう単純明快な民主主義を、ジャクソニアン・デモクラシーと称します。