カチリ 石英の音 秋 中学三年の時、友人からこういう自作の詩を見せられたことがある。それから六十余年、私はついにこの詩から自由になれないでいる。 秋になると、どこからか石英の触れ合う音が聞えてくる。その友はとうに他界したが、秋になると、 両手に石英の欠片を持って、どこからか現われてくる。