> 2017/04/29 (土) 13:58:32 ◆ ▼ ◇ [misao]> 「ふたりで店をひらこうぜ」
> 最初に言い出したのは、永井と僕のどちらだったか。
> 開業資金をつくるために僕たちは、
> 今では信じられないほど大胆な馬券の買いかたに挑んでいた。
> 九七年の春、シーキングザパールで軍資金を「転がし」た。
> 「真珠をさがして」 という名前のその牝馬が
> 三戦連勝で勝ったとき、僕たちの手元には
> およそ四百万円と、でたらめな自信とがそろっていた。
> 次は、NHKマイルカップ。
> 永井と、東京競馬場の正門で待ち合わせていた。
> だが、永井はあらわれない。
> 永井も彼のバッグに入った四百万円もなしで、
> レースは始まった。
> 瞬間、覚悟した。 もう会えまい。
> 馬群が第4コーナーに至っても
> まだ怒りを感じていない自分に驚いた。
> 僕たちの旅はこんな風に終わるのだ。
> この時を前から知っていたような気がした。
> オレンジ色の帽子がふたつ、群れの真ん中から飛び出してくる。
> シーキングザパールと、ブレーブテンダー。
> 生年月日も生まれた国も同じ二頭だと知っていたが、
> 走る姿までも似ているとは。
> 一着がどちらなのか、僕の位置からじゃよく見えない。
> 「どっちがどっちでもよかったんだ」 突然思った。
> 僕が永井で、永井が僕だったかもしれない。
> でも正門を出たところに永井はいた。
> 「時間を間違えた」 やっちまった、という表情。
> 「四百万円は?」
> 「だから増えてないって」 バッグに永井は目をやる。
> 「大損したよ馬鹿!」 大きな声が出た。
> 「でもプラスマイナスゼロだから」
> ちがうよ馬鹿、俺の気持ちが、だよ。
> 言いそうになったが、言ってたまるかとも思った。
> アニメ化しようぜ(;´Д`)
波平?
参考:2017/04/29(土)13時56分33秒