せっちゃんはおきゃんで、まるで男の子みたい。それに比べてうちのさぶちゃんはねえ──というのが、近頃、三郎の母さんの口癖になった。 そのせっちゃんは、学校から帰ると、ほとんど毎日のように、すぐに三郎を誘いに来る。いつもいきなり、とんと駆けこんできて、 「さぶちゃん、遊びに行こ。魚捕りに行こ。」 そして、派手に破けた魚掬いの網を、ぬっと突き出す。 すると、三郎の方は、その勢いに気圧されたように立ち上がって、それでもいそいそと、せっちゃんについていくのだった。 そんな二人の後ろ姿を見送りながら、あの三郎の母さんの口癖が繰り返されるのである。