「野蛮な所」で「気のきかぬ田舎者」のいる土地で、「古い前世紀の建築」の県庁、 「神楽坂を半分に狭くしたぐらいな道幅」の大通りと描写しています。「二十五万石の 城下だって高の知れたもの」「こんな所に住んで御城下だなどといばっている 人間はかわいそうなものだ」 「一時間歩くと見物する町もないような狭い都に住んで、ほかになんにも芸がない(中略)憐れなやつらだ」 「植木鉢の楓みたような小人ができるんだ。無邪気ならいっしょに笑ってもいいが(中略) 子供のくせにおつに毒気を持っている」「おれと山嵐はこの不浄な土地を離れた」と罵詈雑言が続きます。 褒めているのは、「おれはここへ来てから、毎日住田の温泉へ行くことにきめている。 ほかの所は何を見ても東京の足元にも及ばないが温泉だけはりっぱなものだ」