2008/07/09 (水) 01:31:36        [qwerty]
第15話 「小さな花」

      「みゅー♪」
      ある日、繭が仕事休みで居間で寝転んでいる
      しばに一枚の画用紙の絵を見せた。
      「ほう・・・こりゃ上手いな。繭、どうしたんだこれ?」
      「あなた、それ繭が描いたのよ。」
      「繭が?!へぇ・・・こんな才能があったなんて・・・。」
      しばは思わず絵をじっくりと見詰め直した。
      「上手いな・・・菜の花の絵か。繭にこんな才能があったなんて。」
      「あら、あなた知らないの?繭は絵が上手なのよ。学校でも
      美術の先生からほめられてたんだから。」
      「はぁ・・・父親失格だな。そんなこと知らなかったなんて。」
      トルルル・・・電話が鳴った。
      「あっ俺が出る」
      しばは受話器を取った。
      「はい。しばです。」
      「同じ学校の今田と申しますが、繭さんはいらっしゃいますか?」
      「は、はい。ちょっと待ってくださいね。」
      少年らしき電話の声にしばは戸惑いながらも
      繭に受話器を貸した。
      「みゅー♪」
      「おい、みずか・・・繭の友達か?かけてきたのは」
      「そうでしょ。今田くんていう子。繭と同じ学校らしいの。」
      「その、あの、なんだ・・・?彼氏とかいう奴か?」
      「ふふっ違うでしょ。単にお友達なだけでしょ。」
      洗濯物をたたみながら、みずかはせせら笑った。
      「みゅー♪」
      「しかし、繭はみゅー♪って言ってるだけだぞ。会話が通じてんのか?」
      「でも楽しそうでしょ?きっと繭、その子のことが好きなのね。」
      「お、おい・・・。」

            次回予告

      ハッカージャパンが発売される。