2008/07/09 (水) 01:31:36 ◆ ▼ ◇ [qwerty]第15話 「小さな花」
「みゅー♪」
ある日、繭が仕事休みで居間で寝転んでいる
しばに一枚の画用紙の絵を見せた。
「ほう・・・こりゃ上手いな。繭、どうしたんだこれ?」
「あなた、それ繭が描いたのよ。」
「繭が?!へぇ・・・こんな才能があったなんて・・・。」
しばは思わず絵をじっくりと見詰め直した。
「上手いな・・・菜の花の絵か。繭にこんな才能があったなんて。」
「あら、あなた知らないの?繭は絵が上手なのよ。学校でも
美術の先生からほめられてたんだから。」
「はぁ・・・父親失格だな。そんなこと知らなかったなんて。」
トルルル・・・電話が鳴った。
「あっ俺が出る」
しばは受話器を取った。
「はい。しばです。」
「同じ学校の今田と申しますが、繭さんはいらっしゃいますか?」
「は、はい。ちょっと待ってくださいね。」
少年らしき電話の声にしばは戸惑いながらも
繭に受話器を貸した。
「みゅー♪」
「おい、みずか・・・繭の友達か?かけてきたのは」
「そうでしょ。今田くんていう子。繭と同じ学校らしいの。」
「その、あの、なんだ・・・?彼氏とかいう奴か?」
「ふふっ違うでしょ。単にお友達なだけでしょ。」
洗濯物をたたみながら、みずかはせせら笑った。
「みゅー♪」
「しかし、繭はみゅー♪って言ってるだけだぞ。会話が通じてんのか?」
「でも楽しそうでしょ?きっと繭、その子のことが好きなのね。」
「お、おい・・・。」
次回予告
ハッカージャパンが発売される。