ポニョの父親がどう見ても人間なのはなぜなのか、 津波被害の詳細はどうなのか、父親が作っている命の水とはなんなのか。 全編謎に満ちているが、説明はあえて放棄されている。 これが何ともおさまりが悪く、押し寄せる波やあふれる古代魚、落ちてくる月、ポニョが過剰反応する謎のトンネル、 老人ホームの人々など、死をイメージさせる要素があまりに多すぎて、個人的には異様な鑑賞後感を味わう羽目になった。 「神経症の時代に向けて作った」というが、むしろこの作品こそがパラノイア的で気味が悪い。