2008/08/16 (土) 03:50:21 ◆ ▼ ◇ [qwerty]猫の集会
野生猫は単独生活を基本としますので、通常成猫なら雄でも雌でも、自分だけの「縄張り」をもって生きています。
猫の「縄張り」の範囲は、ネズミなど猫の獲物が多ければ狭くても十分ですし、猫の取る獲物の密度が低ければ、広い縄張りが必要になります。
野生猫がほかの猫と暮らすのは、基本的に母猫と子猫の関係だけです。
子猫が育ち、自分で狩りができるようになると、子猫は母猫の縄張りから出ていき、どこか別の場所に自分の縄張りを築きます。
メスの子猫なら、母猫の近くに自分の縄張りを築いて暮らすこともありますが、オスの子猫の場合、どこか遠くへ旅立っていきます。
これは近親交配を避ける猫たちの知恵といえます。
しかし、人の生活圏に暮らす野猫では、かなり様子が違ってきます。
漁村など、人から与えられる食べものが豊富な場所に、多くの野猫が群れ暮らしていることは、よく知られていますね。
ほかの猫と争わなくても食べものが手に入るのなら、お互いの縄張りが重複しても、平和共存できるわけです。
でも、そのような野猫の群れをよく観察すると、いくつかのグループに分かれて暮らしていることに気づきます。
グループの基本単位は、母猫と娘猫を核とする母系集団です。
それぞれの母系集団では、発情や出産の周期を一致させて、グループごとに共同育児をしていることもあります。
このような、縄張りを重複させて暮らす野猫たちが互いの存在を認め合う場が、よく「猫の集会」といわれるものではないか、と考えられています。
集団生活を基本とする人の社会で生きていこうとすると、本来は単独生活者の猫も、やむをえず、群れに近い状態で生きざるを得なくなります。
「一緒に暮らしたくないけれど、食べものの豊富な場所を離れたくない。どうすればいいのか」
そこで、同じ地域のなかで、縄張りを重複させている猫同士が、縄張りを共有する公園や空き地、空き家などに集まって、ケンカせずに生きることを確認し合おうというわけです。
この「猫の集会」に子猫が母猫に連れられて参加し、みんなに認められると、「市民権」を得たことになります。