>  2008/09/07 (日) 22:26:07        [qwerty]
> この世には触れてはいけないものが存在する。
> 西条八十が作った「トミノの地獄」がそれに当たる。
> この詩は地獄を旅するトミノという少年を歌ったもので、内容も不気味である。
> しかし、この詩で一番怖いのは声に出して読むことだ。
> 心の中で読む黙読であれば何の問題もないが、
> 声に出してこの詩を読むと「凶事」が起こる。

トミノの地獄
西條八十
詩集「砂金」より


姉は血を吐く、妹(いもと)は火吐く、
可愛いトミノは宝玉(たま)を吐く。
ひとり地獄に落ちゆくトミノ、
地獄くらやみ花も無き。
鞭(むち)で叩くはトミノの姉か、
鞭の朱総(しゅぶさ)が気にかかる。
叩けや叩きやれ叩かずとても、
無間(むげん)地獄はひとつみち。
暗い地獄へ案内(あない)をたのむ、
金の羊に、鶯に。
皮の嚢(ふくろ)にやいくらほど入れよ、
無間地獄の旅支度。
春が来て候(そろ)林に谿(たに)に、
暗い地獄谷七曲り。
籠にや鶯、車にや羊、
可愛いトミノの眼にや涙。
啼けよ、鶯、林の雨に
妹恋しと声かぎり。
啼けば反響(こだま)が地獄にひびき、
狐牡丹の花がさく。
地獄七山七谿めぐる、
可愛いトミノのひとり旅。
地獄ござらばもて来てたもれ、
針の御山(おやま)の留針(とめばり)を。
赤い留針だてにはささぬ、
可愛いトミノのめじるしに。

参考:2008/09/07(日)22時23分56秒