任天堂の最後のもうけの理由は、競争相手を完膚なきまでにたたきのめ さず、生かさず殺さずにして、競争を演出していることだろう。任天堂 が本体価格やソフトの価格をもっと引き下げて、ソニーやマイクロソフ トが決して追いつけない価格帯にすることは不可能ではない。しかし、 任天堂はあえてそれを行っていないのである。 任天堂と同じように儲かっている例に、半導体を作っている米インテ ルがある。インテルも多額の研究開発費を投入し、常に新しいバージョ ンを何世代先までも開発している。しかし、ライバルであるアドバンス ト・マイクロ・デバイス(AMD)が自分の製品に追いつくまでは次の バージョンはあえて市場に投入せず、ぎりぎりまで市場から投資資金を 回収するのである。 任天堂も同様に、まだまだ隠し球があるだろう。しかし、それを投入する必要はないのである。投入すると、自ら市場競争を激しくすることになり、自分の首を絞めてしまうからである。