>  2008/10/24 (金) 20:30:11        [qwerty]
> 当然経験が長くなると、こういう局面はもうなんども経験しています。
> そのため今回の下げにも驚きはありません。
> だから、こういう時、投資家はどうすればいいのかを知っています。
> 今回の教室では、そのどうすればいいか、
> 何を買えばいいかを中心にお話しします。
> 北浜先生は余裕過ぎるヽ(´ー`)ノ

いよいよカタストロフが近づきつつあったある日のことである。
その日、短波で昼の北浜流一郎の放送がいつもと調子がちょっと違っていた。

地獄のような下げ相場の中でも、強気の予想で個人投資家を励まし続けてくれたあの男が、
その日は何故か、陰鬱な口調で、「こんな相場ですから、推奨できる銘柄は東証1部には
ありませんね。」などと言い始めた。

驚きである。どんな最悪の相場でも、推奨銘柄を次々と発表してくれていた北浜流一郎が、
推奨できる銘柄はないというのだ。
彼は、推奨銘柄として、当時、東証外国部に上場していたドイツ銀行を上げた。

個人投資家の味方、北浜流一郎さえ、日本の株式市場を見捨ててしまったのだ。
もう、これは本当にだめだと思った。本当に日本の株式市場は終わってしまったのだろう。
こうなったらどこまで下がるか分からない。株式市場に預けているお金がゼロになったら、
どうしたらいいだろう。

電話を取った。今度こそ本気ですべてを投げてしまおうと決心した。
電話に出たのはいつもの証券レディーではなく何故か男性の証券マンだった。
息をのんで、口を開いた次の瞬間、僕は全く予期していなかった言葉を口走っていた。

「3408酒伊繊維4000株、成り行きで買い」

電話の向こうは一瞬沈黙した。

「買いですね」
「買いです」
「買い?」
「買い!」

という後で思い出すと笑いが止まらなくなる不思議な会話があり、そして短い電話を切った。

電話を切った瞬間、自分がとんでもないことをやってしまったことに気がついた。
手持ちの全財産をはたいても、酒伊繊維を4千株も買うお金などもう残っていないのである。
定期を解約し、その頃はじめていた田中貴金属での金の定期購入をすべて解約しても、
まだ数十万足りないのだ。

これはサラ金に行くしかないな。

サラ金に行ったのはこの時が最初で最後である。
惨めな気分だった。何を考えているんだろう。

駅前のプロミスへと行く途中、ふと思い立って、公衆電話から、
日経のテレフォン株価情報に電話を入れた。

そして、その日の2時過ぎから突然大きな買いが入り、株価がものすごい勢いで
戻りはじめていることを知った。

酒伊繊維はそれから4日間ストップ高を続け、
ストップ高の止まった日に、僕はきれいに全株売り抜けた。 

参考:2008/10/24(金)20時25分31秒