日本の第一印象はというと、思った以上に悲観的なムードが漂っており、まずこれ に違和感を感じざるを得ませんでした。 というのは、この欄で何度かお話してきたように、現在の「打ちひしがれたアメリ カ」では、日本というのは、ただただひたすらに「まぶしく」見えるのです。光り輝 いて見え、そして誰も悪口を言う人間はいないのです。そう申し上げると、日本の方 々は揃って驚かれるのですが、とにかく事実なのですから仕方がありません。 例えば、何度かお話ししている、東京三菱UFJ銀行のモルガン・スタンレー証券 への出資に関してですが、タイミングが「暗黒の一週間」という最悪の時期だっただ けあって、当時は「唯一の明るい材料」というニュアンスで報道されていました。奈 落の底に落ちるのではという恐怖に立ちすくみ、しかもこのような事態を招いたのは 自分たちのせいだということが、骨身に染みている、そんな心理状態の中で、「誰か 他人なのに自分たちを救ってくれる人がいる」というのは、とにかく一点の光だった のです。