ボクは3ヶ月前、大学のゼミで卒業論文のテーマを「key的文学とテクスト解釈学
とカント的ア・プリオリ～矛盾螺旋構造の罪～」ということに決めて、ボクの卒業
を確実なものとするつもりだったんですよ！うぐぅ。素晴らしい。素晴らしく暖か
い。暖かいよね。こんな、ボクの大学生活を締めくくるのに相応しすぎるテーマは
無いと言った具合ですよね。

　それなのにボクの担当教授は

「左大臣君、これは何かな？（有無を言わさぬ調子でレジュメを握りつぶす）ＡＩ
Ｒ…？このレジュメから見受けるところ、君が文学と謳うこの物語は女性の性を売
り物にした非社会的な読み物にしか見えないんだが…（鷹揚な笑顔から一転して悪
鬼の表情。吸っている煙草を噛み千切る）卒業するつもり……あるの？それとも、
何？は？え？これ本気？ははは。馬鹿言っちゃいけないよ、あぁぁぁ
ぁ！！！！！！？？？（突然立ち上がり灰皿を蹴り飛ばす。机の上をふっとんでい
く灰皿。）書き直して来い！今すぐ書き直して来い！！お前、俺をなめてるだろ？
え？どこの哲学科がこんな白痴みたいな論文を許すか！！しかも、カントだと！俺
が東大でカントを専攻して、卒業後も死に物狂いで研究しているのを知ってのこと
か！え？イヤミなんだろ！これは？え？嫌味だろうが！！」