2009/01/30 (金) 21:56:15        [qwerty]
        #43から#44へ

 親愛なるバラク〔オバマのファーストネーム〕

 「#43から#44へ」なんて、まるでエアラインの便名みたいな、変な表書きを書いたのは、訳がある。
   そう、お察しの通り、「大統領」なんて、お飾りで、ポイ捨て、使い捨てだ。乗り捨てされてしまう。
   空港に着いては出てゆく、シャトル便〔ジェット旅客機〕のようなもの。

 そう、その典型が、僕だった。
 バラク、君にはそうなってほしくない。だから、この手紙を書いている。

 バラク、君がイリノイ州選出の上院議員としてワシントンに初めて来て、
  僕と会った時のことを、君は君の2冊目の本に書いているね。

 君と握手した時、僕がすぐ揮発性の消毒液で手を消毒したときのことを。
  あのとき、僕は「君もどお?」と言っただろう?

 僕はあのとき。「風邪の予防」だなんて言ったけど、そうじゃない。
   ワシントンに来ると、政治家の手は汚れてしまう。汚れるんじゃなんぞ、という若い君への警告だった。

 ホワイトハウスは大統領執務室の保秘電話まで盗聴されているから、これまで君に打ち明けられなかったが――
   そうそう、君の〔携帯〕ブッラクベリー、メールも通話も盗聴・盗視されているよ。フランス政府など、
   政府高官にブラックベリー使用禁止令を出したよ――そう、君と初めて会ったあの時、僕の手はすでに汚れていた。

 君もうすうす感づいていたはずだが、「9・11」が僕の手を汚してしまっていたんだ。
   いくら洗い落とそうとしても落ちない罪を犯してしまった。

 「テロリスト」を泳がせて仕組んだ「21世紀の真珠湾攻撃」。
   すべてはイラクの石油を確保するための工作だったわけだが、僕がプロットを知らされたのは、
   その日、9月11日に、フロリダの小学校を訪ねる、と決まった日のことだった。

 でもね、その時点ではまだ、僕はテロリストに旅客機をハイジャックさせて誘き出し、
  その上で始末する、とだけ聞かされていたんだ。

 そしたら、WTCに1機、突っ込んだ知らせが入った。うろたえてはいけないと、
   子どもたちと一緒に「メリーさんの羊」を読んでいた僕の耳に、スタッフが言った。
  「2機目が突っ込んだ。でも、まだ2機、残っています。このまま、子どもたちと朗読を続けてください」とね。

 僕は混乱してしまい、どうしていいかわからなかった。まだ2機も残っている?!

 そして、あのペンタゴンへの巡航ミサイル攻撃……ここまで来ると、いくら僕でも史上空前の陰謀が仕組まれ、
   実行に移されたと気付かざるを得なかった。

 でも、仕組んだ連中が僕を大統領にしてくれた連中だったから、僕はもう、シナリオに従わざるを得なかっただよ。

 アイク〔アイゼンハワー大統領〕が退任演説で警告した「軍産複合体」が、アメリカをここまで操るようになっていたんだ。

 君も気をつけてくれ。

 僕は君が好きだ。君も君の本の中で、家族の話をしている限り、ブッシュはいいやつだ、と書いてくれたね。
 「大統領」としてではなく、ひとりの「人間」として見てくれた、君に感謝する。

 同封した鍵は、君を守る鍵だ。

 同封した地図のコインロッカーに、「9・11」の真相を物語る証拠の文書が入っている。

 すぐさま回収し、秘密の場所に移したまえ。そして、万が一のこと――君の暗殺だ――が起きたら、
  暴露すると「連中」を脅すことだ。

 この「証拠の文書」が、君を守る!

 僕はこれで僕の手を洗い終えたなどとは考えていない。僕は僕なりに贖罪の日々を過ごしてゆくつもりだ。

 #43〔便〕は連中に乗っ取られ、自爆的な航路をたどってしまった。
 しかし、君の操縦する#44〔便〕は、きっと正しい航路を飛び続けるに違いない。

 チェンジするんだ、バラク!
 君の大統領としてのチャレンジの成功を祈る!

                             
                       2009年1月21日
                       ジョージ・W・ブッシュ