> 2009/02/22 (日) 18:32:30 ◆ ▼ ◇ [qwerty]> 「セリヌンティウス。」メロスは眼に涙を浮べて言った。
> 「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、
> 悪い夢を見た。君が若(も)し私を殴ってくれなかったら、
> 私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」
> セリヌンティウスは、すべてを察した様子で首肯(うなず)き、
> 刑場一ぱいに鳴り響くほど音高くメロスの右頬を殴った。
> 殴ってから優しく微笑(ほほえ)み、
> 「メロス、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。
> 私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。
> 生れて、はじめて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、
> 私は君と抱擁できない。」
> メロスは腕に唸(うな)りをつけてセリヌンティウスの頬を殴った。
> 「ありがとう、友よ。」二人同時に言い、ひしと抱き合い、
> それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。
> 群衆の中からも、歔欷(きょき)の声が聞えた。
> 暴君ディオニスは、群衆の背後から二人の様を、
> まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、
> 顔をあからめて、こう言った。
> 「おまえらの望みは叶(かな)ったぞ。
> おまえらは、わしの心に勝ったのだ。
> 信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。
> どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、
> わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」
メロスは腕に唸(うな)りをつけてディオニスの頬を殴った。
ディオニスは頬を抑えながらあらん限りの声で叫んだ
「おまえらは、揃って死刑だ」
どっと観衆の間に、歓声が起こった。
「万歳、王様万歳。ホモは殺してしまえ」
参考:2009/02/22(日)18時26分45秒