「ギンナンとかユリネとか大豆とか、そういうの大好きなの。十代の娘らしくない、って両親 からよく言われるけれど、嗜好なんて環境もかなり影響していると思わない?あの両親に育て られたから、好みが渋いのよ、きっと」 聞けば、志摩子さんの家は純和風建築で洋間というものがないらしい。イメージでいうとど う考えても、白亜の豪邸に白いグランドピアノなんだけれど。お弁当だって、クラブサンドと かフライドチキンとかの方が絶対に似合う。 「見かけによらない?」 志摩子さんは祐巳の顔を覗き込んで尋ねた。 「うん、ちょっとね。でも、意外で面白い」 正直な感想を述べると、志摩子さんは「祐巳さんも同じよ」と笑った。