「ごきげんよう」 「ごきげんよう」 さわやかな朝の挨拶が、澄み切った青空にこだまする。 マリア様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。 汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。 スカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、ゆっくり歩くのがここでのたしなみ。 もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在しようはずがない。