「遺伝子を時計の針に見立てれば、体内時計の動きは簡単に分かります」。 こうさらりと話す上田氏は、3月に東京大学の博士課程を修了したばかり。 理研が神戸市に設置した発生・再生科学総合研究センターで、 バイオテクノロジーとIT(情報技術)の融合領域を研究している。 研究室の責任者であるチームリーダーとなって2年目。 11人の部下がいるが、半数以上は年上だ。 理研のチームリーダーは大学の教授職に相当する。 一流大学で教授になる場合、40代前半でも早いと言われるが、理研でも20代のチームリーダーは例がない。 ましてや就任時に学生だ。竹市雅俊センター長も異例の抜擢人事に抵抗感はあったが、 同時に「早くツバをつけておかないとほかに取られてしまう」と思ったほどの逸材だった。