山月記 中島敦 隴西(ろうさい)の李徴(りちょう)は博学才穎(さいえい)、天宝の末年、 若くして名を虎榜(こぼう)に連ね、ついで江南尉(こうなんい)に補せられ たが、二声三声咆哮(ほうこう)したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、 再びその姿を見なかった。 (完)