2009/04/25 (土) 19:54:24        [qwerty]
皆は、私を、先生、と呼んだ。私はまじめにそれを受けた。
私には、誇るべき何もない。学問もない。才能もない。肉体よごれて、心もまづしい。
けれども、苦悩だけは、その青年たちに、先生、と言はれて、だまつてそれを受けていいくらゐの、苦悩は、経て来た。
たつたそれだけ。藁一すぢの自負である。
けれども、私は、この自負だけは、はつきり持つてゐたいと思つてゐる。
わがままな駄々つ子のやうに言はれて来た私の、裏の苦悩を、一たい幾人知つてゐたらう。