「自分は、一体何のため、誰のために生きているのか。自分など、所詮、 世の中にとってゴミのようなものでしかないのではないか?」 そんな思いにとらわれて、次第に鬱々とした気分の中に深く沈みこんでいく。 次第に何をするのもおっくうになり、やがては体を壊し、ゴミ屋敷然とした家の中で、 寝たり起きたりの日々を過ごすようになる。 ここで重要なことは、この過程で「社会との接点」を次第に喪失していく点だ。 基本的には定職がないので、「人と会う」機会はおのずから減る。自分の落ちぶれた姿を見せたくないので、昔のクラスメートはもとより以前の仕事仲間とも会いにくくなる。 親兄弟や親戚に対しては、こうしたケースではたいてい彼らに借金していたりするので、 さらなるお金の無心と、返済を遅らせるお願い以外、接触しないということも多い。 自分の殻に閉じこもって鬱々と過ごす日々の寂しさ、みじめさは、他人にはうかがい知ることはできない。 誰も援助の手を差し伸べることなく、やがて彼は憤死するのだ。