今から16年くらい前の話になります。 ボーッとあたりを眺めていた時、 手持ち無沙汰を察してくれたのでしょう。 眼鏡をかけたアニメーターさんが話しかけて下さいました。 「ジュラシックパーク、観た?」 「観ました」 「日本の怪獣映画、どう作ったら面白くできると思う?」 2時間程も相手をしてくれたその方とは、 互いに名乗る事も名乗られる事も無く、 ただ延々と怪獣の話をしていました。 その場を去る段階となって、 初めて自己紹介をさせていただいた時の衝撃は忘れません。 「浅井真紀と申します」 「あ、かなだといいます」 「かなだ……さん?」 頭が真っ白になりました。 それまで話していた気軽さはどこへやら、 途端にめんどくさいアニオタの本性を見せた小僧に、苦笑されながら 「描いてる本人はこれが普通だと思ってるから」