俺の部屋は安物の建売住宅の二階だ。両親はこの家のローンを払い終えたころ に死んだ。償却期間もとっくに終わったようなボロ家に今は俺一人で住んでい る。ではなぜ「二階が俺の部屋」と書いたのか。実際、一日のほとんどを一階 に降りることもなく、この部屋に閉じこもっているからだ。 部屋には東向きの何の変哲もない窓が付いている。 俺は朝起きではなく、実はそのまったく逆で、お昼から寝はじめるような毎日 を送っている。 窓から外を見ると、ちょうど正面50mほど先に小さな公園が目に入る。 朝も6時になるとすっかり明るいのだが、ある日、窓から外を眺めていると、 公園で餌をまいているような老人の姿が目に入った。よくいる朝起き老人がハ トにでも餌をやっているのだろうと特に気に留めることもなく、窓を閉めカー テンを閉じた。