2009/08/29 (土) 16:42:48        [qwerty]
1.業界の現状
 とんかつ屋が大変な公害産業だと言うと驚かれる方が多いでしょう。しかし、
一般の店では大量の廃油が出ます。恐らく通常程度の規模の店で1日に1斗かん
2本から3本は使いましょう。廃油引取業者というのがおり、これを回収して、
石けん・ゴム等にリサイクルしております。かっては業者が買い取っていたわ
けですが、現在では円高のため、店の方が1かん当り300~500円程度で引き取
ってもらっているというのが現状です。当然引取業者に出すのはむしろ良心的
なわけで、下水に捨てるならまだしも、川等に夜中に捨てに行く者もかなりい
るでしょう。当店が真に驚くのは引取業に新規参入するには土地代を除いて、
プラントだけでざっと50億円かかるという点です。とても市民運動のリサイク
ルでできるものではありません。当店を除くとんかつ屋は良心的なところでさ
え、それだけの社会的コストを経済全体に強いているのです。

 当店はそのような業者の存在そのものを最近まで知らず、つきあった事もあ
りません。そもそも当店では廃油が全くでません。しかしながら、そもそも不
要とまでは申しませんが、本来の市場規模は現在の10分の1程度の筈の引取業
界(公益法人たる全国、地方団体まであり、各理事等は官庁からの有力な天下
り先でもあるといいます)をここまでムダに発展させ、本来5分の1程度の消費
量で済む食用油業界をも今日まで不必要に拡大させ、ために資源配分のゆがみ
や、地球環境に甚大な損害を与えてきた責任の小さくない部分は創業以来70年
にわたり、極端な秘密主義をとり、自己の利益の拡大のみを企ってきた当店の
創業以来の経営姿勢にあると考える次第であります。当時としては経済は拡大
こそ善であり、地球環境への考慮も問題でなく、当店も他店との競争こそ第一
でありましたでしょう。その結果として今日の業容を見るとはいえ、企業の社
会的責任に思いをいたすとき、現状に到底甘んじ得ず、社会への提言といたす
ものであります。
 
 ちなみに当店の油使用量は同業者の数百分の1、通常の店が1日3かん使うと
12,000円程になります。これは一番安い業務用冷凍肉で換算しますと1センチ
厚さとして160人分になります。一般には肉より油の方が高くついているのです。
当店の低価格の秘密はここにあるわけで、もちろん当店のメソッドを他店にお
いても採用されるならば経営的にも大変なメリットとなります。島耕作