2002年夏にペンタゴンは、冷戦終結以降、最大規模のワーゲーム(軍事演 習)を行った。「ミレニアム・チャレンジ2002」と銘打たれたこの演習 は、「ある湾岸の軍事国家」、つまり、イランを仮想敵国とする軍事演習だっ た。その結果は関係者を愕然とさせるものだった。米軍の力を立証することに なると考えられていた演習が、それとは正反対の結果を示してしまったから だ。 退役海兵隊中将、ポール・バン・ライパー率いる「イラン」軍は、ことごと く米軍の行く手を遮ることに成功した。ペルシャ湾岸に入った米艦隊は、イラ ン軍の自爆船、対艦巡航ミサイル(ASCM)による攻撃を受け、米戦艦のほ ぼ半数が沈められるか、作戦遂行ができない状態に追い込まれた。 バン・ライパーはイランの巡航ミサイルと弾頭ミサイル戦力をうまく移動さ せ、これを殲滅しようとする米空軍の裏をかいた。