格闘経験のある大の大人がですよ。震えてるんですよ。 「あいつがきた あいつがきた」って。 だって、彼の自宅ですよ。 高級住宅地で、セコム完備で、家族しかいない。 その寝室に、出たっていうんですよ。 不自然に頭が大きくて、眉毛がふとい男が。 そう、彼の描いた「******」ですよ。 あれが、首を絞めてきたっていうんですよ。 そんな馬鹿なと思うでしょう? 私は震える彼に毛布を渡しましたよ。車にあったやつです。 それを、子供のように被ってブルブル震えてるんです。 お願いだから帰らないでくれ、一人にしないでくれ、というんです。 妻子そっちのけですよ? 長い付き合いだけど、こんなに錯乱した彼を見たのは初めてですよ。 それでね、私の家に泊めたんですよ。 <続く>