自分はその田村ゆかりライブコンサートのチケットを、ちっとも欲しくは無か ったのです。かえって、本のほうがいいくらいでした。けれども、自分は、彼 が田村ゆかりの肉声を自分に聴かせたいのだという事に気がつき、彼のその意 向に迎合して、彼の機嫌を直したいばかりに、深夜、部室棟に忍び込むという 冒険を、敢えておかしたのでした。