ちかごろ母の理性が衰えはじめている 本当ならたとえ家族が理性を失おうとも自分自身に確固たる理性があれば 何もおそれる事などないのだろうと思う しかし俺自身の理性だって多分にあやしいものだし やがては俺の理性もこの世の理を知る前に無へと溶けてゆくのだろうと思うと 生というものの空しさと儚さ、そして気楽さを感じるのである