───あえてお聞きします。印象に残っている敗北は? うーん…そうだな、まだ私が駆け出しの新人だった頃の話だ。 ココロ図書館のレギュラーが決まって浮かれてたんだな。 そんな夜、居酒屋の帰りにそいつは突然姿を現したんだ。 夜道でよく見えなかったが女の声だったよ。確かジョセフィーヌと名乗ったな。 ───正体不明の敵と。 一つだけ確実な事は、当時の私を圧倒的に上回る暴力を纏っていたことだけだった。 何度も地面に叩きつけられ、起こされ、また叩きつけられ… 意識朦朧とする私の目に最後に映ったのは、去っていくジョセフィーヌの背中さ。 そのときハッキリ見えたんだ、あいつの背中に…なんというか、顔のような… ───まさか鬼の? いやもっと別の…能面にある鬼女みたいな… (月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)