>  2010/01/25 (月) 00:28:01        [qwerty]
> > 「か・・・係長・・・」
> > その場の全ての視線が重雄に集まる。
> > 「・・・」
> > ――仕方ねえな
> > 重雄はフリフリのミニスカートから煙草を取り出すと何がしか呟いて煙草に火を付ける。
> > 「進行状況がギリだったからよ、ステッキは製品と一緒に梱包しちまったんだな。」
> > 慌ててたよ――と呟くと少女の形をしたその存在は口から煙を吹く。
> > 「え?マジで鈴木係長なんですか!?」
> > 「そうだよ」
> > 「だって・・・そんな・・・」
> > 「色々とワケアリでな、こんな格好で半年も街中走りまわっちまった、それももう終いだな」
> > 西日に照らされた魔法少女の顔に翳りがさす。
> > 「今日のコレで奴等も壊滅した、こっちの世界の危機も去ったわけで後はまあ―」
> > 「お姉ちゃん!」
> > 少女の叫び声、ビクっとして振り向く重雄。
> > 「っ・・・鈴・・・」
> > そこには家裁の調停で年に二回しか会うことが許されない愛しい一人娘の姿があった。
> > 父親としてではなく、魔法少女として、友人として、自分の娘に接してきたこの半年。
> > その幸せな時間も今日で終わる。
> ゲラゲラワラタ

「嘘だよね?!お姉ちゃんがお父さんだなんて嘘だよね!」
今にも泣き出しそうな顔で、必死に声を上げる愛娘。
一瞬の逡巡、重雄の脳裏を掠める羞恥心。
こいつ等の前で・・・またあの口調で・・・。
しかし、既に大粒の涙をぽろぽろとこぼし始めている娘の、その期待は裏切れない。
今まで何度も裏切ってきた・・・何度も・・・。
魔法少女はくわえていた煙草を呆然と立ち尽くす従業員の口にくわえさせると娘に向かって歩き出す。
娘の前でしゃがみこみ、うつむく顔を見上げる。
「鈴ちゃん、お姉ちゃんはお姉ちゃんだょ」
少女の、舌足らずな、甘甘しい口調――
「鈴ちゃんのお父さんはもっと年を取った、少しおなかが出た、おじさんでしょ?」
「うん」
ホラ、と鈴の顔を優しく上げる重雄。
「お姉ちゃんはおねえちゃんでしょ?」
「うん」
ニッコリと笑うと鈴の鞄を持ち上げる。
「ほら、この前のおまじない、大っ嫌いなお父さんが
 もう鈴ちゃんに合いにこないようにするおまじない」
「うん」泣きながら頷く娘。
自らの携帯電話を取り出すと“新しいパパ”と表示される番号。
鳴る呼び出し音。
「ぱぱ・・・迎えに来て・・・」


参考:2010/01/25(月)00時07分01秒