2010/02/26 (金) 22:25:02        [qwerty]
メキシコの田舎町。海岸に小さなボートが停泊していた。 
メキシコ人の漁師が小さな網に魚をとってきた。その魚はなんとも生きがいい。それを見たアメリカ人旅行者は、 
「すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの」 
と尋ねた。 すると漁師は 
「そんなに長い時間じゃないよ」 
と答えた。旅行者が 
「もっと漁をしていたら、もっと魚が獲れたんだろうね。おしいなあ」 
と言うと、漁師は、自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だと言った。 
「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」 
と旅行者が聞くと、漁師は、 
「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、女房とシエスタして。 
夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって…ああ、これでもう一日終わりだね」 
すると旅行者はまじめな顔で漁師に向かってこう言った。 
「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、きみにアドバイスしよう。いいかい、きみは毎日、
もっと長い時間、漁をするべきだ。 
それであまった魚は売る。お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。 
その儲けで漁船を2隻、3隻と増やしていくんだ。やがて大漁船団ができるまでね。そうしたら仲介人に
魚を売るのはやめだ。自前の水産品加工工場を建てて、そこに魚を入れる。その頃にはきみはこのちっぽけな
村を出てメキソコシティに引っ越し、ロサンゼルス、ニューヨークへと進出していくだろう。きみはマンハッタンの
オフィスビルから企業の指揮をとるんだ」 
漁師は尋ねた。 
「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」 
「二〇年、いやおそらく二五年でそこまでいくね」 
「それからどうなるの」 
「それから? そのときは本当にすごいことになるよ」 
と旅行者はにんまりと笑い、 
「今度は株を売却して、きみは億万長者になるのさ」 
「それで?」 
「そうしたら引退して、海岸近くの小さな村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、 
日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、 
夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごすんだ。 
どうだい。すばらしいだろう」