「畜生、生きてやる」 「ま、まて、早まるな」 「とめないでくれ、これ以上死んでもいいことなんて何もないんだよ」 「ばかやろう、軽々しく言うな、生きる気になったら何でも出来るぞ、生 きる気で死ねばいいじゃないか」 「そういうお前だって、前までは生きたい生きたいなんていって、生きた 魚のような眼をしていたじゃないか」 「ああ、でも生きてる自分の姿を想像しただけで恐ろしくなったよ、大体 お前天国の何がそんなに気に入らないんだ、腹もすかない、金もいらない 何もない天国のなにが」 「天国が嫌になった訳じゃない、こんな右をみても左をみても争いのない 世界、退屈でうんざりなんだ」