2010/04/04 (日) 03:23:51        [qwerty]
 生まれたばかりの赤ちゃんを母親が胸元で抱っこする「カンガルーケア」の最中に赤ちゃんが
低体温状態に陥り、けいれんをおこしたり呼吸が止まったりする事故が相次いでいる。母乳育児の
促進などに有効とされ、多くの医療機関で導入されているが、施設によっては事前説明もせず、
実施中の見守り態勢がずさんなところもある。メリットが強調されてきたカンガルーケアだが、
安易な実施に警鐘を鳴らす動きも出てきた。(力武崇樹)

■待望の赤ちゃんが…
 「いいお産でしたよ。何の問題もありません」

 昨年12月9日夜、長崎市の産婦人科医院でのいつもの光景だった。赤ちゃんは「オギャー」と
元気な泣き声をあげ、院長も満足げな笑みを浮かべていた。

 同市の男性会社員(44)と主婦(45)が授かった初めての男の子(3156グラム)。2人とも
無事の出産に胸をなでおろし、喜びをかみしめた。

 助産師は手際よく男児の身長や体重の計測を終え、主婦に「体に密着させて」と抱かせた。しかし、
直後から男児のつめは紫色になり、手足も動かさなくなっていく。

 助産師に問いかけても「大丈夫ですよ」というばかり。次第に男児の手は白くなっていったがなぜか
近くに助産師の姿はなく、主婦の叫び声で駆けつけたときには、男児の呼吸は止まっていた。

 男児は市内の病院に救急搬送され、一命は取り留めたが、脳は機能せず、今も意識不明のまま。
医院側からは事前にカンガルーケアの効果や危険性についての説明はなく、男性も主婦も「事故になる
可能性があるのなら、絶対にカンガルーケアをしなかった」と憤る。