『ハンナ・アーレントの価値世界について』という論文を作成しました。 (中略) 教授からは、「マチュアー(成熟している)ですね。君は学者になれば大活躍できるだろう。 この論文も、序文を書き添えて、内容を倍ぐらいに引き伸ばせば、法学部卒業後、 助手が三年後に書く助手論文(博士論文程度)の合格レベルをすでに越えている」 (中略) 当時二十一歳の私は、どうやら学問的天才性を見せはじめていたようです。 (中略) かくして私は、『法律学』や『政治学』の学問性と価値観の不在・貧困に直面し、 東大法学部には、自分が師事すべき教師がいないことを悟りました。 (『新・太陽の法』 341~344頁)