あの日・・・ 重傷をおったフィンを馬の背に乗せて 王子とナンナ様は村にやってきました ナンナ様はどうか父をお救いくださいと 目にいっぱい涙をためて 私にすがりつかれました でもリーフ様は、私をにらみつけて 『助けてくれたらこれをやる』と 腰にあった剣を差し出されただけ・・・ 聞けば母上の形見だという まだほんの少年なのに、よほどの苦労を してきたのだと思いました リーフ様 私には若い頃のきおくがありません 十数年前 イスの海岸に倒れていたところを 村人に助けられたのです 私は何者なのか・・・ 夫は・・・子供はいたのか・・・ それすらおぼえていないのです でもあなたたち二人を見たとき 私の過去にも同じようなことが あったと気づきました その日から あなたたちをわが子とも思い きびしく育てることにいたしました でもまさか レンスターの王子だとは 思いもしなかった・・・