2010/07/01 (木) 16:24:32        [qwerty]
「す……らい……む」
「べす! しっかりしてね! もうすぐ逃げられるからね!」
「……すら……いむ……はもう……べす、だけ……でも」
「なにいってるのおおおお!? すらいむはべすとゆっくりしてくれるんでしょおおおおお!? べすはかり
がへたなんだよ!? すらいむがしんだらべすはどうやっていきていけばいいの!? だれがごはんもってくる
の!? だれが、だれが、べすを……」
「……」

 泣きながら絶叫するべすに、すらいむは小さく笑った。
 そして、産まれてからこの瞬間までの、ゆん生を思い返した。 それは、人間では走馬灯と呼ばれるものであ
る。
 すらいむの中枢餡は、僅かでも生き延びようと、幸せだった光景をきらびやかに映し出した。
 優しい両親、可愛い姉妹、そして、幼馴染の、おうたが得意なべす。
 ずっと一緒にいた。
 今日の朝にプロポーズをして、受け入れられた。
 これから先もずっと一緒だと、二人は身を寄り添った。
 もう、すらいむは幸せな未来を生きることはできない。
 口も動かない。
 しかし、伝えるべき一言だけは、決まっている。
 最後の命を振り絞って、すらいむは笑顔を浮かべた。

「べす……」
「すらいむ!?」
「ゆっくり……してい――――」

ぐちゃっ