2005/09/05 (月) 02:01:11        [qwerty]
14:00(推定)1/50000地図「韮崎」で道が右岸から左岸へ渡っている場所(推定)。ここは鞍掛沢
    出合より50mばかり上流で連続してナメ滝が落ち、通称梯子滝といわれているところである。
    徒渉点はそのナメ滝の上部である。
    これまでの二回の徒渉では必ず立ち止まり、船木が場所を選定し、船木が先に渡っていた。
    今回も船木は上流の幅約4m、深さ約10mで底が砂礫の場所を選定しそこを渡るよう指示しよ
    うとしたところ、先行していた吉田は指示を待たずに対岸へ飛んでしまった。その時船木は
    一枚岩から沢に下り切った点におり吉田との距離は約3mくらいであった。
    場所は一見容易に飛び越せそうであったが、ナメ滝の落ちロであり幅約1m深さ30mで水流
    は比較的速く、底がー枚岩で茶色の苔がはえていた。この時は雨は降っていたが小降りに
    なり雨具をつけてもつけないでも大差がない状態でわれわれは雨具はつけたままであった。
    雨雲は切れて、下流の方は両側の尾根の上まで見えていた。吉田は一気に対岸へ飛びつこう
    としたが沢の中で一歩足をついた。その途端に足を払われた恰好で頭を上流にして3mばかり流
    され、滝の中の岩に左手でしがみつき右手を挙げ「船木さん、船木さん」と数回叫んだ。
    船木はザイルがザックに入りきれず風呂敷に包んで手に持っていたので急いでその一端を
    投げることができた。吉田はそれにつかまったがそのザイルはとっさに投げたのでー本のまま
    であり、それをひっぱると吉田の手からすりぬけてしまうおそれがあった。実際にひっぱってみ
    るとずれてしまうので、船木はザイルを吉田が自分でたぐって、水の中で立ち上がるのを期待
    していた。船木の当時立っていた位置は足場が悪く、一緒にひき込まれるおそれもあるので、
    安全な場所までザイルを体にまきつけながら下がった。またピンになる岩や木を探したが、
    近くには全然そのようなものは見当らなかった。その場所で確保しながらザイルのもう一方の
    端を輪にして、そこをつかめばそのままひっぱり上げられるように配慮し、輪にした方のザイル
    を投げた。この時、吉田は足だけが水流の上に出て、頭から水を浴びた状態で、そのすぐ横に
    輪を作ったザイルがとどいていた。しかしながら吉田はすでにそのザイルにはつかまろうとはし
    なかった。5分位そのまま経過した後吉田は手を離し流れ落ちた。途中の段でひっかかり、そこ
    で体が回転していたが、こんどは頭を下にして滑るようにして滝壷へ落ちてしまった。