十字軍の遠征に参加することになった男が、出発する間際に親友に頼みごとをした。 「友よ、頼みがある。君に妻の貞操帯の鍵ををあずかってもらいたいんだ。そして、もし俺が死んだら、妻にこの鍵を渡してやってほしい。こんなことは、親友のお前にしか頼めない」 「ああ、君の頼みだ。ぼくがしっかりこの鍵を守るよ。だけど、言っておく。絶対に生きて帰って来るんだぞ」 男はいよいよ出発し、涙に暮れる妻を置いて死地に旅立った。 しかし、しばらくすると友人が追いかけてきて男にこう言った。 「友よ、鍵が間違ってるぞ」