2010/07/26 (月) 19:00:25        [qwerty]
シュンペーターと創造的破壊
シュンペーターは、『経済発展の理論』でイノベーションを次の5つに分類している。

1)新しい財の生産
2)新しい生産方法の導入
3)新しい販路の開拓
4)原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
5)新しい組織の実現

このうち「技術革新」という訳語に相当するのは1と2だけで、
あとは技術というよりも経営の問題である。シュンペーターは、
イノベーションを新結合と呼び、それが市場の要望生まれるといった発想を否定した。

経済における革新は、新しい欲望がまず消費者の間に自発的に現われ、
その圧力によって生産機構の方向が変えられるというふうに行なわれるのではなく、
むしろ新しい欲望が生産の側から消費者に教え込まれ、したがってイニシアティヴは
生産の側にあるというふうに行なわれるのがつねである。(岩波文庫版 p.180)

このようにイノベーションを生産者による仮説の設定に求める考え方は、
今日でも重要である。いまだに技術を改良することがイノベーションだと
思い込んでいる技術者や、市場調査によって「帰納的」にイノベーションが
生まれると考える経営者が跡を絶たないからだ。

よくproduct outはだめでmarket inがよいといった議論が行なわれることがあるが、
これは日常的な商品開発の場合には有効でも、イノベーションには当てはまらない。
アップルのiPodが2001年に発売されたときは、多くの人が嘲笑した。音楽配信という
市場が存在しなかったからだ。スティーブ・ジョブズの大胆な仮説が、市場を創造したのである。


(;´Д`)
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