96年、クスリを飲んだのは2度か3度。持病の鼻炎が特にヒドいときだけ口にした。 Fは「欲しけりゃいつでも言ってくれ。日本には売るほど持ってきてるから」と言ってくれたが、安易な誘いには乗らなかった。 驚くべき効果を実感した分、グリーニーと呼ばれる得体の知れないクスリに対する疑念が膨らんだからだ。 それに、当時はまだ27歳。結局、この年は54試合に登板したが、疲れを感じることなどなかった。 チームは前年に続いてリーグ優勝。日本シリーズで巨人を破り、チーム初の日本一を達成した。 体力も気力も充実し、クスリに頼る必要などなかったのだ。 敬遠していたクスリを頻繁に飲むようになったのは翌97年のシーズンから。 そしてオレは、グリーニーとは別に、もう一つの「魔法のクスリ」を知ることになる。 (明日につづく)