2010/08/20 (金) 12:11:11        [qwerty]
「体温を超える気温」に意味はある?

 今年の夏は全国的に気温の高い日が多く、特に東日本や西日本の一部では
日の最高気温が37℃を超えるような日も続出しています。
 さて、天気予報などで「明日は最高気温が体温を超える地域も予想され」
などという表現が使用されることがあります。ここで出てくる疑問というの
は、気温が体温を超えることに何か意味があるのかということです。
 「異なる温度を持つもの同士は温度平衡に向かおうとするので、外温が体
温より高いと、体の熱が外に出ていかなくなる」という一般的に一見もっと
もらしい議論があります。
 ところがこれは間違っているのです。温度平衡云々は何も間違っていない
のですが、人間や他の恒温動物、植物は温度平衡によって体温を下げている
わけではないということです。水は蒸発する際にエネルギーを必要とし、そ
のため、分子の周囲から熱を奪うことによってエネルギーを得ます(気化エ
ネルギー)。つまり、体から水分が蒸発する際に体の熱が奪われ、体温が下
がるのです。これは体温と外気温とは無関係に発生します。もちろん、程度
(エネルギー)は関係していますが、それは「温度連続的」であって、体温
を超えたから起きなくなるというものでもないのです。
 もっとも、外温が高くなるほど(連続的に)体温は下がりにくくなるので、
そのため、外気温が高いときに熱中症に気を付けることは当然必要です。