われわれは皆、時に感覚が欺かれたり、目の錯覚があることを 知っている。しかし、今この時、偽りの感覚を抱かされている わけではないことを確認するには、どうすればよいのか。もし かしたら常にだまされているのではないだろうか。わたしはど こかのタンクに入れられた脳にすぎず、この世界で起きている ことは現実だと、ばかげたコンピュータか何かにずっと信じ込 まされているのではないか。実在するのはおのれの自我だけだ というこうした考えを抱くことで、果たしてわたしの人生は有 意義なものになるのだろうか、それとも意味を失うのだろうか。