冒頭で、主人公達の生きる地域「大日本」を「美しい国」と呼び、その美し さを羨み欲した列強諸国が「悪鬼羅刹の侵略兵器群」でおかそうとしている と語られる。 周辺各国から侵略された歴史を描くにあたって、文永ならぬ「文栄十一年」 に『蒙古襲来絵詞』を模した絵を、「華永六年」に黒船来航を思わせる蒸気 船を、「将和二十年」にB29に似た爆撃機を、それぞれ描いていく。一方で 「大日本」の地図には北海道までふくまれている*1。 先日にzeroes氏が批判していたが*2、たしかにアバンタイトルの世界観説明 が痛い。 歴史修正主義に直結する欲望があるというより、かなり無自覚に表現してい るように感じられる。ひねりを入れずに美しい国として日本を描いてしまう 自己愛と、現実の歴史を素材として用いる創作技法を安易に組み合わせるこ とで、無駄に被害者意識な世界観が作られてしまった。 http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20101008/1286578704#20101008f2