「ダメですよ! いけませんっ!」 拒みつつも、神が人の子の核心に与えたもうた「セックスの快楽」という機能は、 相手への慕情があれば、自動的に発動してしまうものである。 悦びに溺れ、次第に自意識を奪われてゆくシスター…… 黒い修道服がわずらわしく絡みつき、彼女はそれに手をかけた。 そのとき、法王ベネディクトの説教が彼女の脳内に響き渡る。 「快楽のみに浸るは姦淫なるべし」 けれど、すでに全身を悦びの波に包まれていたシスターにとって、 その文言は、罪悪感という名のスパイスとなって、甘美な主菜を一層引き立てる役に立つのみであった。