> 2010/11/27 (土) 23:19:20 ◆ ▼ ◇ [qwerty]> > 海老僧のために警視庁全力投球(;´Д`)パンピー相手にもこのくらい仕事やってくれよ
> 馬鹿なボンボンが飲み屋で殴られただけだろ(;´Д`)放っておけばいいのになあ
決闘
それは外国の真似ではなかった。誇張でなしに、相手を殺したいと願望したからである。
けれどもその動機は深遠でなかった。私とそっくりおなじ男がいて、この世にひとつものが
ふたつ要らぬという心から憎しみ合ったわけでもなければ、その男が私の妻の以前の
いろであって、いつもいつもその二度三度の事実をこまかく自然主義ふうに隣人どもへ
言いふらして歩いているというわけでもなかった。相手は、私とその夜はじめてカフェで
落ち合ったばかりの、犬の毛皮の胴着をつけた若い百姓であった。私はその男の酒を
盗んだのである。それが動機であった。
中略
――出ろ。
そう叫んで、私は百姓の向う臑を泥靴で力いっぱいに蹴あげた。蹴たおして、それから
澄んだ三白眼をくり抜く。泥靴はむなしく空を蹴ったのである。私は自身の不恰好に
気づいた。悲しく思った。ほのあたたかいこぶしが、私の左の眼から大きい鼻にかけて
命中した。眼からまっかな焔が噴き出た。私はそれを見た。私はよろめいたふりをした。
右の耳朶から頬にかけてぴしゃっと平手が命中した。私は泥のなかに両手をついた。
とっさのうちに百姓の片脚をがぶと噛んだ。脚は固かった。路傍の白楊の杙であった。
私は泥にうつぶして、いまこそおいおい声をたてて泣こう泣こうとあせったけれど、
あわれ、一滴の涙も出なかった。
参考:2010/11/27(土)23時16分12秒