この日の名目はあくまで200メートルあるいは300メートルの上昇実験ということだった。 しかし、120メートルまで上昇して一旦は地上に降りたものの、16時20分頃「行ってきます」と言って 鈴木はファンタジー号を係留していたロープを外した。「どこへ行くんだ」という三輪教授に 「アメリカですよ」との言葉を返し、重りの焼酎の瓶を地上に落とした鈴木は周囲の制止を振り切って 琵琶湖湖畔からアメリカネバダ州サンド・マウンテンをめざして出発した