人は皆、己自身が震え立つがごとき怪物を飼っている。 怪物をむき出しにする種族は、地下の煉獄へ追いやった。 地の底に人が作りし煉獄で、彼は生まれた。 誰よりも、己の内なる怪物を、彼は憎悪し、彼は愛した。 彼は、第2の母と、彼らを地下へ追いやった者たちの住む世界へのぼった。 だが、その時既にして、地上の世界は、そこに居続けた人々と同様、 ゆっくりと死の時を待っていた。 地上は冥府、人という種と、人という種が築いた世界の黄昏。 彼は、そこで、父という名の亡霊と出会った。 彼とともにいた、彼の第2の母は、冥府に留まった。 そして彼は再び、彼が生まれた地下の煉獄へと戻る。 そここそが、彼の生きる世界。 煉獄こそが、人なる種が最後にいるべき世界。